会計相談室
2023年10月20日 13:00:00
アメリカへの進出形態について
アメリカへのLLCでの進出について、
「譲謙(ゆずけん)さん、わしの友達がニューヨークへ進出してくるといっているのじゃが、LLCをデラウエアに作ると言っておる。何かアドバイスはないか?」会社経営者の鬣(たてがみ)がおもむろに会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称:譲謙ゆずけん)に聞いた。
「そうですね。日本からの進出ですか?」
「そうじゃ。」
「日本からの進出であれば、まずは株式会社で進出したほうがよいと思います。」
「なぜじゃ?前にアメリカの会社設立はほとんどがLLCと言っていなかったか?」
「そうです。しかしながら、外国からの直接投資のケースは少々状況が異なります。まずはLLCとはどのような組織なのかを理解する必要があります。LLCとはどのような組織だと思いますか?」
「確か、リミテッド ライアビリティー カンパニーとか言ったよな。」
「その通りです。名前の通り、有限責任で、メンバーはメンバー間での契約書で特に無限責任を負わない限り、有限責任しか負いません。」
「それは、メンバーにとって好都合じゃな。」
「そうです。しかしながら、取引をする相手にとっては、不安な面もあります。」
「どうしてじゃ?」
「有限責任である場合、取引をするときにうまくいかなかったときに最終的な担保となるのが、資本金ですが、資本金というものもLLCにはないからです。」
「そうか?それじゃ、相手は何を見て最終的に信用ができるかどうかをみるのじゃ?」
「メンバー個人になってくると思います。」
「メンバーが信用できるかどうかか?」
「その通りです。」
「どんな時に株式会社との差が出てくるんじゃ?」
「そうですね。具体的にいうと銀行口座を開く時でしょうか。株式会社では、PresidentかSecretary かTreasurerであれば、サイナーとして銀行は口座を開いてくれますが、LLCでは役職は関係なく、メンバー全員が銀行に行かなければ、口座を開いてくれません。株式会社では株主全員が銀行に行くことなどは全く必要ありません。」
「ほう、厳しいのう。」
「もしも、メンバーが会社であった場合には、メンバー会社の株主構成や株主の詳細の提出も要求されます。」
「LLCで会社を作るのは、かなり面倒そうじゃのう」
「そうです。さらに、税務上も面倒です。LLCのメンバーは米国内で商売をしているとみなされるので、メンバーは、個人であろうと会社であろうと、たとえ、日本にいても米国への申告が必要です。」
「日本の会社がわざわざ米国へ申告をしなければならないのか?それはやっかいじゃのう。」
「そうです。アメリカで設立したLLCの申告に加えて、その会社に投資した日本の会社自身も申告の義務を負うのです。」
「株式会社であれば、アメリカに投資した日本の会社自身の申告義務は生じません。ただし、LLCが申告時に会社選択をすれば、日本の申告の義務はなくなります。」
「そうか、それじゃ、友人には株式会社でアメリカには進出するように言っておこう。ありがとな。」
「どういたしまして。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saitollp.com):齊藤幸喜